おとななこども
その時、ブレザーのポケットに入っている携帯電話が震えた。

百花から電話だ。

「もしもし?」

「あ、お兄ちゃん?」

アルトのかわいい声が電話越しに聞こえた。

「どうした?」

「お兄ちゃん、部活終わった?

終わったなら早く帰ってきてって」

もう少し窓から平岡さんを眺めていたいけど、百花に言われたら弱い。

「今帰るところだから、もう少し待ってて」

そう返した僕に、
「後、おじいちゃまが帰ってきたら離れにくるようにって」

百花は続けて言ったのだった。
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