おとななこども
学校を出て、地図を頼りに会長の自宅へ向かう。

「えーっと…K町の3丁目はこの辺り、だったよね?」

手元の地図と道案内の看板を交互に見る。

「確か地図によるとこの辺りにファミマが…あった。

えーっとそこを右に曲がって、信号のところを左で…」

会長の家って、学校から遠いんだな。

しかもこの辺にくるのは初めてだから、
「…迷った」

全然、違うところについてしまった。

「ここが…会長の家のはずだけど…」

しかし、あたしの目の前にあるのは違う人の家だ。

ご丁寧に、かまぼこ板のような表札には『斉藤』と書いてある。

「はあ、どうしよう…」

斉藤さんの家の前でため息をついた時、
「何かお困りですか?」

誰かに声をかけられた。
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