夜桜

「そうじゃなくて、こうしてても嫌じゃない?」


「うん。ぬくぬくだし」


僕の意図にまるで気づいていない彼女に、気づかれないようにため息をはく。

思わずがっくりと首を落として、僕のあごが頭に触れて、彼女がぴくりと緊張した。



彼女の耳に唇を寄せて、そっとささやく。
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