夜桜

門の両脇にも桜が植えられていて、近づくと、彼女が満開の桜を微笑みながら見つめていた。
とても優しい、おだやかな表情で。

声をかけるのがもったいなくて、黙って見ていると、こちらに気づいて満面の笑みで手を振った。


「ごめんなさい、お待たせして」


「いいや。桜、きれいだったし」


「そうでしょ。桜通りみたいよね?
ほんとは、桜が見頃だから、来ませんかって、メールしようかと思ってたんです」


「え、そうなの?」


言いながら、ドキッとした。



今のはどういう意味なんだ?


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