先生の「特別」にしてくださいっ!
「ほんっと、許すまじ、あのプリント。」

「いや、どう考えても
見間違える凛が悪いからね。」

「まあ、間に合ったからいいけど。」


なんとかギリギリ間に合って、
入学式が終わって、
ホームルームが始まるまでの時間。

去年からの私の友人、
雪乃とのおしゃべりを楽しんでいた。


雪乃の苗字が「高橋」で、
私の苗字が「滝野」。


名簿で前後だから、
今の席順でも当然、
雪乃は私の前に座っている。

実は去年もこの並びで、
雪乃と私はいつのまにか
友達になっていた。


「ギリギリだったけどね。」

「いいの。私は常にギリギリで生きるの!
ギリギリでいつも生きていたいから~」

「凛、思いついたからって、
唐突に歌い出すのやめなよ。
この合唱部が。」

「もうー雪乃は真面目だなあ。
さすが生徒会。さすが陸上部!」

雪乃は生徒会役員であり、陸上部員である
というすばらしい奴なのだ。

私は、中学の時は合唱部だったけど、
高校ではもういいかなーとも思っている。


「陸上部、あんまり関係なくない!?」
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