先生の「特別」にしてくださいっ!
そう、爽やかに言われちゃうと、
お見舞いじゃないですとは言えないし、
いや、お見舞いに来たんだけど。

「とりあえず、中入れ。」

とか言うから、
病人と立ち話もなあ…とも思っちゃって、
図々しくも中に入ってしまった。


「片付いてなくて、ごめんな。」

…前に本棚もらった時に入ったから
知ってたけど、確かに先生の部屋は
それなりに片付いてない。

敷いてある布団のまわりに、
薬やらスポーツドリンクやらが置いてあるのはきっと風邪引いてから布団のまわりだけで、
生活していたからだろう。


「今、茶でも入れるわ。」

ん?今、なんて言った?

「結構です!先生は寝て下さい。」

お見舞い客に茶を入れる病人があるか!

「え…で、でも、俺が飲みたいし。」

「いつだかの私の真似をしてもダメです!
だったら私が入れます。」

台所に行く。
あ、ここは綺麗だな。

ん?っていうことは、

「先生、ひょっとして、
ご飯食べてないんですか?」

「あ、言われてみれば、
昨日の夜から何も食ってなかったわ。」
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