先生の「特別」にしてくださいっ!
「俺の鞄から、携帯取って…」

色んな滝野が見られるのは、
すごく嬉しいんだけど、

「あ、はい。………どうぞ。」

これ以上、迷惑をかけるのは、
教師としてどうなんだ。
とも思ってしまうので、

「…兄貴に電話する。」

そう言って兄貴に電話する。

意外にもすぐに電話に出た。

《もしもし、守?
体、大丈夫なの?》

「大丈夫じゃないから電話した。」

《…今、仕事終わったところだから、
今からいく。
何か買ってきてほしいものは?》

「うーんと…家になんもねえんだわ。」

《じゃあ、色々買っていくね。》

「さんきゅー」

《30分くらいで着くから。
ちゃんと寝てなよ。》

「はいはい。じゃ」

電話を切る。

「お兄さん、どうでしたか?」

「30分くらいで来るらしい…」

「良かったあ。
じゃあ私は部屋に戻りますね。」

ほっとした顔をする滝野。
なんか、やっぱり、
まだこいつの顔を見ていたい気もするけど。
もう遅いしな。

「このお礼は、絶対にしてやるから、
なんか考えとけよ?」

そう言ったら、

「はい!わかりました!
覚悟しといてくださいね?」

と、滝野は今までみたことのない
陽だまりのような、
優しい笑顔で返事をしてくれた。
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