先生の「特別」にしてくださいっ!
「兄貴が中野の主治医なのは、
知ってたよな?」

「…よく存じております。」

あ、ちょっと機嫌悪くなった。
まだあの時のこと根にもってんのか。

「まあ、そう怒るなって、
兄貴にチクったことは謝るから。」

「私は何の被害も受けてないですけどね。
ちょっと後ろめたくなっただけで。
でも、彩音も楽しそうでしたし。」

「楽しそう?」

見つかったのに?

「彩音は病気のこと心配すると怒るんです。
だけど、この前見つかった時は、
珍しくあんまり怒ってませんでした。」

「なるほど。」

「彩音は、先生のお兄さんのこと、
結構気に入ってると思いますよ。」

「中野が?
俺は兄貴の方が
中野を気に入ってると思ってたけど。」

中野が兄貴を気に入ってるとは、
意外だった。

「お兄さんが?」

逆に不思議そうな顔をしている。

「兄貴は今まで、
絶対に俺に仕事の話なんかしなかったの。
だけど、患者にまた脱走されたーって、
最近はよく聞くようになって、
それこそ楽しそうだと思った。」

「仲良いんですね。」

「だな。」

全くの同意件だった。
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