先生の「特別」にしてくださいっ!
養護教諭が職員室を出てってから、
10分くらい経った。
滝野はそろそろ帰っただろうか?

一人で駅まで歩いているのだろうか…
大丈夫、なのか?

「谷中先生!」

「は、はいっ!」

お局が早く仕事しろと言わんばかりに
こちらを見る。

つーか、なんでこの人、
さっきから俺を監視してるんだよ。

暇過ぎじゃね?

まあ、そんなことはどうでもよくて。
実際、早く採点しないと確かにやばい。

そもそも滝野だって、
大丈夫というからには
大丈夫なんだろう。

俺が心配したってしょうがない。

何度もいうけど、
俺は滝野の担任じゃない。

学校での俺と滝野は、
日本史の授業でしか
接点のない関係なのだ。

滝野は、
他の生徒となんらかわりない、
ただの一生徒、なんだから。
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