先生の「特別」にしてくださいっ!
滝野…無事でいてくれ。


俺は祈るようにもう一度改札内に入る。


…いつだか俺が風邪をひいて無理した時、
お前は俺の心配をして、俺の頬を叩いたな。

あの時のお前の気持ち、
今の俺にはわかるぞ?

お前だって同じじゃないか。
熱がある体で一人で過ごそうなんて。
どんな無茶をしたがるんだ。

…俺の負けだよ、滝野。

もういい。
生徒とか、教師とか、
そういうの気にするのやめた。

俺は今、他の誰よりも
滝野が大事だ。
それだけが事実なんだ。

だから、どうか無事でいてくれよ。頼む…

必死で人が閑散としてきたホームを見渡す。
が、制服姿の女の子は見当たらない…

落ち着け。
もう一度、ホームをよく見る。


あれは…待合室?

うっすらと人影が見える気がする。
俺はとりあえず、そこに入ってみる。

と、



中の椅子に、



滝野が、



座っていた。
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