先生の「特別」にしてくださいっ!
《守はこの子の、何なの?》

俺は滝野の何なんだ?
ただの教師?

でも、ただの教師なら、
一生徒である滝野を、
あんなに心配することはなかっただろうし、

仕事を投げ出して、
追いかけることもなかったはずだ。

だって、あれが他の生徒だったら、
俺はそんなことしなかっただろう。

それは、
教師としてあるまじきことだと思うけど、
そう思ってしまうのは仕方がない。

当たり前だ。
だって他の生徒よりも断然、
滝野との距離の方が近いから。

同じアパートに住んでるんだぜ?
当たり前だろ?

俺は滝野と同じ屋根の下で暮らすことによって
他の生徒よりも数倍、
滝野のことを知ってしまった。

いや、学校での滝野はあまり知らないから、
生徒じゃない滝野のことを、

知りすぎてしまったんだ。
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