先生の「特別」にしてくださいっ！
「つまり、喧嘩して、
彩音に定期検診をすっぽかされて、
心配している、と。」

「お恥ずかしながら。」

「ちなみにその定期検診とやらは
いつだったんですか？」

「一昨日です。」

今日が日曜だから、
一昨日といえば金曜日。

金曜日だったら、
たしか放課後、彩音とお茶したなあ。
そういうことだったのか。

「元気すぎるくらい、元気ですよ？」

「そうですか、よかった。
あの…こんなこと、頼むのは心苦しいん
ですけど、病院にくるように、と
凛さんの方から…」

「絶対に嫌です。
ていうか普通に
家に連絡すればよくないですか？」

「そうなんだけど…
その…色々ありまして…」

彩音のお母さんは、
彩音に過保護すぎるところがあるから、
彩音がばっくれたことを知ったら
間違えなく怒るだろう。

「まあ、あのお母さん、
うるさそうですからね。
先生のお気持ちもわかります。」

そして、彩音だけでなく、
喧嘩した剛先生のことも怒るだろう。
彩音の母方のおじい様というのは
なんでも結構な権力者らしいから、
最悪、剛先生の首が飛ぶ可能性もある。

「いや、
僕のことなんてどうでもいいんです。
僕はただ、彩音さんが大丈夫なら
それでいいんです。」

お優しいことで。
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