先生の「特別」にしてくださいっ!
「痴話喧嘩もたいがいにしろよ。」

ボソっと言ってしまった。

「痴話喧嘩とかそういうんじゃなくて!」



「だって、好きなんでしょ?彩音の事。」



「え?ええ!?え!
いや、僕はあくまで主治医として。」

「本当に?」

「当たり前です!」

はあ…この兄にしてあの弟があるのか…

「そうだとしたら、
兄弟揃ってほんっとバカ!!」

思わず怒ってしまった。

「!?
ど、どういう意味ですか!?」

剛先生は驚いている。

「普通、ただの患者の事に
そこまで熱心にならない!
病院抜け出した患者を
わざわざ探して迎えに来たり、
病院に来ないからっていって、
わざわざこうして、聞き込みに来ない!
剛先生は、
ほかの患者にも同じことするわけ!?」

「それは…できる限りの事なら…」

私はもう止まらない。

「じゃあ、その気もないなら
彩音にそんなに優しくしないことです!」

まるで、先生に対する思いを、
かわりにぶつけてしまっているみたいだ。

「じゃないと彩音がかわいそうです!」
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