先生の「特別」にしてくださいっ!
声の主を見ると、

こちらに駆け寄ってくる、


広田先生。


………。


いや…期待していたわけではない。
そうそう都合よく、
先生がこの近くにいるわけない。


「凛、大丈夫!?」

雪乃も一回机を置いて、
駆けつけてくれた。

「なんか…平気。」

どうやら私はとっさに机を手放して、
受け身をとれていたらしい。

不思議とそんなに痛くない。

「広田先生も、お騒がせしました。」

机持った生徒が
階段を落ちてきたんだから、
さぞびっくりしたことだろう。

「いや、俺より………本当に大丈夫?」

「へーきです!」

そう言って机を持とうとするけど、

ズキッ!

「うがっ!」

手首に痛みが…
よく見ると擦り傷ができている。

「凛、血出てるよ?」

「ちょっと見せてみろ。」

そう言って、広田先生は、
私の手を掴もうとして…
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