先生の「特別」にしてくださいっ!
「私はまた、ひとりになる。」

彩音のピアノ伴奏にのせて、
ソロの前に
まず、私が台詞をしゃべる。



「行くべき場所もない。」

もう、あのアパートには帰れない…



「だけど、私は彼がここにいると
思い込むことができる。」

先生がいなくても、
先生はこんなとき、どうするかなって、
想いを馳せることならできる。



「彼を想うだけで、私は幸せなの。」

先生のことを考えるだけで、私は幸せだ。



「街は眠りにつき、
私は自分の想像の世界を生きる。」

夜はね、実はいつも、
先生とのことを思い出しているんだ…



タン――タン―タン―タン――タン―タン

と彩音のピアノ伴奏の曲調がかわり、

いよいよ、私のソロがはじまる…
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