先生の「特別」にしてくださいっ!
「彩音………」

彩音の気迫に圧倒されてしまった。
こいつは、本気で最後まで弾く気だ。

彩音が弾く曲は後、2曲。
時間にすると
最後まで10分もないけれど…

「凛、どうしよう…」

雪乃が言う。

落ち着け、私。

………………

部員は舞台の事で忙しくて
それどころじゃない。

ここから保健室も結構遠いし…

誰か、何か頼れるものは………


…客席!!!

「雪乃!
客席、前から2列目左から3番目!
谷中先生のお兄さんがいたはず!」

「っ!!!
わかった。」

夏休みに一度会ってるから、
意味がわかったらしい雪乃は、
すぐに飛び出していく。

彩音は怒るかと思ってみるけど、
演奏に集中してて
それどころじゃないらしかった。
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