先生の「特別」にしてくださいっ!
舞台は無事、成功し、
彩音は伴奏を終えた直後、
剛先生の車で病院へと連れてかれた。


…嵐のような時間だった。


駐車場で見送った雪乃と私。
そして谷中先生。

「彩音、大丈夫かな?」

雪乃が心配している。

「彩音はほんとバカだよ。
これで死んだら絶対に許さない!」

剛先生…頼んだよ?

「大丈夫。
兄貴がなんとかしてくれるから。」

と谷中先生。

「まさか、本当に
文化祭に来ると思いませんでした。」

彩音に会いたいならくれば?
って言ったの私だけど。

「兄貴は真面目だから。」

「ほんと、真面目すぎる兄貴ですね。」

「だろ?
ってなんで今、お前まで兄貴って言った?」

「あ!思ってることがついつい口に。」

「お前は普段、心の中で兄貴の事、
兄貴と言っているのか!?」

「先生が兄貴兄貴って言ってるから…」

「俺のせいかよ!!
まあ、別にいいけどな。」

「私だって兄貴のこと信じてますよ。
なんだかんだ、頼りにしてますから。
どうにかしなきゃって思った時、
一番最初に思いついたの、
剛先生でしたから。」

なんだかんだ、頼りになる。
この兄弟はいつだって全力だから。
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