先生の「特別」にしてくださいっ!
文化祭前日。
俺は忙しくて学校中を駆けずり回っていた。

ちょうど、階段を上ろうとしたとき…


カラガラ!ガシャ!ドン!


凄い物音。何かの落下音が聞こえた。

何だ?誰かがなんか落としたか?

そう思ったけど、その直後。

「滝野!?」

という声が聞こえて、
いてもたってもいられなくなった。

滝野に…滝野に何かあったのか。

急いで階段を上ったけれど、
俺が見た光景は…

手を怪我したらしい滝野と
その傷を見ようとしている勇の姿だった。


…俺にしてやれることは、なさそうだ。


そうだよ。
滝野の事を助けてやれるのは、
俺以外にだって沢山いるんだ。

…滝野に何かあって、
いちいち俺が出ていったらおかしい。

俺は一教師だから。

他の教師が助けてるなら、
それで、いいんだから…
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