先生の「特別」にしてくださいっ!
舞台上に全員が出てくる賑やかな曲が
終わり、

静かになった舞台に、
静かなピアノの音が入り、
滝野が出てくる。

一瞬、こっちを見た気がしたけど、
気のせいだろう…

台詞を言う滝野の姿は儚くて…

いや、あれはエポニーヌだから!
滝野じゃねえから!って
自分に思い聞かせても、

次の瞬間、
そんなことどうでも良くなってしまった。



「On my own――――♪」



…っ!!!!!



マリウスの隣を歩いていると想像し、
幸せそうな顔をするエポニーヌ…

だけど、ふとその切なさに気付く…

そして、彼が好き…と
切なくも歌う。



これは…



これは…



本当にエポニーヌ…なのか?




「凛さんて…凄いんだね。」



あそこにいるのは、滝野だ。


じゃあ、あれは…
滝野の気持ち…なのか?


あの切なそうな表情は、
エポニーヌのものだけじゃなくて…


滝野の表情…なのか?



「make……the…flowers―――」
「will make the flower―――
………grow…」


エポニーヌは思いを伝えられなくても、
マリウスに看取られて、幸せそうだった。


…滝野。


俺の勘違いかもしれないけど、


お前、やっぱり…
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