先生の「特別」にしてくださいっ!
「先生!彩音が!!!!」

ここからが大変だった。


中野が倒れたらしい。
しかし、それでもピアノを弾き続ける。

兄貴は必死で止めるけど、
中野は最後まで弾こうとする。


そして、そんな中野のために駆け回る
滝野、高橋、そして合唱部員達。


お前達のこのパワーはどこから湧くんだ?


俺は、その姿に圧倒された。



兄貴と中野を見送った後、
残された滝野と高橋と俺。

高橋は生徒会の仕事があるらしく、
走って行った。


さらに残された滝野と俺。

「………」
「………」

気まずい沈黙が訪れる。

何か話さないと、と

「滝野って合唱部、だったんだな。」

当たり障りのない事を言う。

「本当は高校では
入るつもりなかったんですけど、
文化祭前に助っ人で頼まれて。」

そうだったのか。

…文化祭前ということは、
実家に帰ったあと、だよな?

どおりで忙しそうだったわけだ。
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