先生の「特別」にしてくださいっ!
私の足は結局、ただの捻挫で、
骨には異常がなかった。

だから、今日の朝には腫れも大分ひいていて、
一人で歩くのに困らないくらいに
回復していた。

朝、ゴミ出しした時に会った先生には、
昨日のお礼をもう一度言って、
もう大丈夫だから、心配はいらない
と伝えた。

もう、学校で先生に会っても、
先生を避けなくてすむはず、

少しは気持ちが軽くなった。

そう思って学校に来たけれども…

「あの子が高橋さんでしょ?
あの谷中先生に媚びてるっていう。」
「なんだ、別にそんな可愛くないじゃん。」
「いるよねー。1年に一人は、
勘違いして先生に媚びる奴。」

そんな知らない先輩たちの声が聞こえてしまった。


「凛ー!おっはよー!
今日は、1限から体育であるよ!」

「あ、雪乃!おはよ。
今日の体育、私はパス。」

「え?なんだ、そのパスっていうのは。
月曜1限から体育はダルいと思うからって、
サボりはいかんよ?サボりは。」

「ちがうわ!足、捻挫しちゃったみたいで。」

「うっそ、大丈夫なの?」

「もうほとんど大丈夫だけど、
一応、体育は見学しとく。」

雪乃も多分、まわりの嫌な視線には
気づいているはず、
だけど、気づかないふりをして、
こうして明るく話しているのだと思う。
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