先生の「特別」にしてくださいっ!
「高橋さん、
日本史のノート貸してくれない?
今の授業、寝ちゃって。」

授業後、一人のクラスメイトが
雪乃にそう言ってきた。

「え?ああ、いいよ。
どうぞどうぞー」

雪乃はノートを貸している。


…おかしい。


「ありがとう。助かったー」

そう言って、そのクラスメイトは
そのまま教室を出て行った。


…おかしい。


借りに来たクラスメイトの名前は、
相澤さん。
出席番号1番。

要するに一番前の席。

寝られるわけない。

大体、相澤さんは、
かなりの谷中先生好きだったはずだから、
日本史の授業で寝るはずないし、


そもそも別に雪乃とそんなに親しくない。


ノートを借りるなら普通、
自分と仲のいい友達に頼むはずだ。

絶対何かある。

女の勘というやつだ。

こっそり追いかけてみよう。
そう思い立って立ち上がろうとしたら、


「りーん!」


雪乃に腕を捕まれた。
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