先生の「特別」にしてくださいっ!
大体、借りたノートを持ったまま、
教室を出ていくなんてありえない。

どこか行くにしても、
自分の机にノートを置いてからに
するでしょ?

廊下に出て、
相澤さんを探すと、
ちょうどトイレに入るところだった。

手を見ると、雪乃のノートを持っている。



何をする気なの?



急いで追いかけようとしたら、


「たきのりじゃん。
どしたの?そんなに急いで。」

となりの教室から出てきた
彩音に声をかけられた。

「あ、彩音。
ごめん、今ちょっと急いでるから。」

「え?たきのり?」

ごめん、彩音。
このことは後で話すから。


もう一度、トイレの入り口に
目を向けると、

相澤さんが出てきた。


その手には…


雪乃のノートが、



なかった。
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