先生の「特別」にしてくださいっ！

そんなに人気ないのか？

意味の分からない成り行きで、
仮入に来ている私は何もいえないけど。


雪乃に話したら、

「凛と彩音が？似合わなすぎっ」

って笑われた。

私はともかく、
外見だけなら彩音は似合うと思う。





外見だけなら…

「チッ！貸して！」

舌打ちして、泡だて器とボールを奪うと、
彩音はすごい速度で卵白を混ぜ始めた。

「ちょ…彩音、
飛び散ってる飛び散ってる。」

どこにそんなパワーがあるんだ？
その細腕に。

「たきのりはそっちの鍋見てて。」

鍋ってこれか？

…なんか、沸騰しているんですけど。

「なんで強火！？」

抹茶とゼラチン溶かすだけやろが！

「火にかけるって、
さっき部長が言ってたでしょ？」

「言ってたけど、
それは弱火でってことな。」

「なに？その強火とか弱火とかって。」

…………

「………え？」

今なんて言った？

「何？なんか文句あんの？」