略奪ウエディング

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そのまま彼の部屋に行き、彼のルームウェアを借りて着替えた。

「ははっ。ダボダボだな。子供が大人の服を着たみたいだ」

彼は私の姿を見て楽しそうに笑った。

「もう…。いいって言ったのに悠馬が…。そんなに笑わないで」

私は彼から目を逸らし、赤い顔で自分の姿を見下ろした。

「怒らないで。小さくて可愛いってことだよ」
彼は私の足元にひざまずいて裾を巻き上げながら言う。

私はそんな彼を見下ろしながらさらに恥ずかしくなった。課長にこんなことをさせてるって知られたら皆がびっくりするわ。そう思い慌てて彼を止める。
「いや、いいわよ。自分でやるから。子供じゃないから…」
そう言って彼から離れようとした。

「いいから。大人しくして…ほら、できた。もう引きずらないから今夜はこれで我慢して」

そう言って彼は私をそのままヒョイと抱き上げると自分の顔を私の顔に近付けた。

「コーヒーでも点てようか？お嬢さん」

聞かれてドキドキする。
彼の瞳が綺麗でうっとりと見惚れる。子ども扱いされていることなんてもう忘れてる。

「…うん」

私が答えるとその目はすっと細くなる。

「待ってて」

チュッと私の唇に軽くキスをしてから彼は私をソファにそっと下ろした。

ちょっと…待って…。もう、どうしてそんな風にしてくるの？
部屋に入ってから、今の軽いキスしかスキンシップはないはずなのにもう全身からトロトロに溶かされそうになっている。

「…悠馬」

「ん？」
私が声をかけると彼はキッチンから返事を返してきた。

「何だか…甘すぎない？優しすぎて…困る。さっきから思っていたんだけど、…今までのイメージと違う気がして。…どうしたの？」

私が思ったことを素直に話すと彼はクスクスと笑い出した。

「甘やかしちゃいけないの？自分の好きな子に優しくして何が悪いの」

「え、だって…会社では…付き合ってからも叱られたりしてたし」

「もう、君の上司じゃない。だから解禁でしょ。俺のしたいようにさせてよ。梨乃は黙って甘やかされてなさい」

部屋は香ばしいコーヒーの香りに包まれている。私はそれを鼻に吸い込みながら彼の優しさに包まれて幸せを感じていた。