略奪ウエディング
七・君を抱いて眠りたい
君と感じる幸せ
送別会が終わり二人で彼の部屋に帰った。
「楽しかった」
私が言うと悠馬はニコッと笑って言う。
「そうだね。でも、羽目を外しすぎた奴の顔は覚えておこう」
「やだ、無礼講じゃないの」
「分かってる。でも、残業くらいは押し付けないと。あいつらめ」
私は笑いながら、怒った顔の彼を見る。
「職権乱用…?」
「ああ、そうだよ。こんな俺は嫌か?」
「ちょっと嫌かも」
「何だよー、ここはそんなことないって言うところだろ」
「きゃはは」
二人で笑いながらソファの上でじゃれ合う。
最近はいつも笑ってる。泣きながら彼を恋しがった頃が嘘のようだ。彼はいつも私と一緒にいてくれる。
恋に臆病で、誰かを愛しすぎないようにいつもブレーキをかけてきた私に、悠馬は本物の幸せの素晴らしさを教えてくれる。
「ね、梨乃。ゲームしようよ」
「ゲーム?」
悠馬はローボードからごそごそと箱を取り出した。そこには家庭用ゲームが入っている。
「悠馬、こんなのするの?」
意外で驚く。
「うん、たまに。暇つぶしに。企画書が煮詰まったりしたときなんかにすると以外とアイデアが浮かんだりするんだ。無心になれるからかな。楽しいよ」
「へえ…」
私は彼をどこまで知れたのだろう。私の知らない彼はあとどれだけの秘密を抱えているのだろう。
そう言えば。
結局、茜さんと二人でいた理由も聞いてはいない。