略奪ウエディング
片桐悠馬
***
「片桐くん、君、来月から金沢ね」
「は!?」
支社長室に呼び出されて鼻歌混じりで向かった俺に、支社長が言った内容は俺の想像とは全くかけ離れたものだった。
アメリカ勤務を希望していた俺にとって、本社への異動は全く頭の中になかったのだ。
「どうして…」
「君!栄転だよ!喜ぶところだろう。何だよ、その浮かない顔は!本社で業績を上げたら君の希望に口添えするから。な?」
…絶句。
何が、な?だ!
金沢だと?俺は寒いのが嫌いなのに!
「…分かりました。約束ですよ。業績を上げたら、必ずですよ?」
「おお。分かった。まあ、本社の部長がちょっとやりにくいかも知れないが、頑張りたまえ!」
支社長はガハガハと笑いながら、非常にライトなノリで俺の運命を決めた。
――「横浜から来ました、片桐悠馬です」
二十人ほどの好奇に満ちた視線が俺を隅々まで舐め回すように観察している。
貼り付けたような笑みを浮かべ、俺は新任の挨拶をした。
だが俺も男だ。視線は当然、女性社員に注ぐ。
なかなかの美人揃いだな。
真面目そうに装いながらも頭の中は実に不純だ。
「片桐くん、君、来月から金沢ね」
「は!?」
支社長室に呼び出されて鼻歌混じりで向かった俺に、支社長が言った内容は俺の想像とは全くかけ離れたものだった。
アメリカ勤務を希望していた俺にとって、本社への異動は全く頭の中になかったのだ。
「どうして…」
「君!栄転だよ!喜ぶところだろう。何だよ、その浮かない顔は!本社で業績を上げたら君の希望に口添えするから。な?」
…絶句。
何が、な?だ!
金沢だと?俺は寒いのが嫌いなのに!
「…分かりました。約束ですよ。業績を上げたら、必ずですよ?」
「おお。分かった。まあ、本社の部長がちょっとやりにくいかも知れないが、頑張りたまえ!」
支社長はガハガハと笑いながら、非常にライトなノリで俺の運命を決めた。
――「横浜から来ました、片桐悠馬です」
二十人ほどの好奇に満ちた視線が俺を隅々まで舐め回すように観察している。
貼り付けたような笑みを浮かべ、俺は新任の挨拶をした。
だが俺も男だ。視線は当然、女性社員に注ぐ。
なかなかの美人揃いだな。
真面目そうに装いながらも頭の中は実に不純だ。