偽りの愛で愛して
確かに冬馬君はカッコいいけど…かっこいいだけ





テンションも合わないし…




さっさと帰りたいな





そんなことを思いながら渡されたお酒を飲んでボーっと考える





てか、このお酒どれだけするんだろう?




グラスを振りながら、ちらっと隣を見る




冬馬君と先輩はいちゃつき合いまくって私なんか気にしてない




客が孤立してるのに…




はぁ、と軽くため息をつきそうになると…




誰かが隣にぼすっと座った



誰?と思いながらも隣をチラッと見る




そこには…あの、紫苑君がいた




膝の上で指を組みながら私の顔をじっと見てる




「……え?」




ビックリしすぎて、とっさに声が出てしまった




冬馬君も紫苑君の存在に気づいたようで先輩からそっと離れ、紫苑君に話しかける




「し、紫苑さん…!?ま、真美さんは…?」




「真美さんなら酔いすぎて帰ったよ」



「そ、そうですか…」




冬馬君はあり得ない、というような表情をしている



「それより冬馬?お客様をちゃんとお相手しないと…」




「も、申し訳ありません…」




「まぁ今は混んでるし、5人に対して3人もきついから仕方ないけど…冬馬もだてにホストやってるわけじゃないだろ?」





「…はい」





2人の会話の内容なんて耳に入ってない





ただ、紫苑さんを見るめる






…かっこいい





顔だけではない





雰囲気の全てが…




「えっと…名前、聞いても良いかな?」



紫苑君の視線が私に向けられる




「優奈です…」




紫苑君の目に惹きつけられて、離せない







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