不器用桐谷さんと桜井くん
「あ、桜井くんじゃん。」
祐希がそういうから
「桜井くん?」
と聞くと、祐希は目を開いて
「え、桜井駿(さくらいしゅん)くん。同じクラスじゃん!!」
「へぇ~、知らなかった。」
「うそでしょ…。」
教室でも、桜井くん目立ってたじゃない。と奇怪な目で私を見てくる祐希
「そうなんだぁ。」
私は、桜井くんをまた見た。
確かに、かっこいいなぁ。
高い背丈に少し茶が混じった髪、女の子みたいに小さい顔に綺麗な肌。
大きい瞳、すっと通った鼻と、整った顔。
周りの人との会話を聞いていると笑顔で返事をしていて、見るからにムードメーカーというか、明るくて優しい人だと分かる
「ほんっとうに小春は、男に疎い(うとい)というか、なんというか…。」
「別にいいでしょ~。」
帰ろう。と祐希に言って人混みを通りすぎようとしたら
「あっ!桐谷さん」