不器用桐谷さんと桜井くん
「あ~あ、嫌われちゃったんじゃない?」
隣を見ると、ローファーに履き替えている祐希がいる。
「別に、なにか失った訳じゃないから。」
「そっか~!」
祐希は、振り返って私に笑顔を見せると、また歩きだした。
「なんか、疲れたな…。」
深いため息をする私を見た祐希は
「なんか、桜井くんも大変そうだね。」
「桜井くん?」
さっき囲まれてた人か…
「あんな大勢に囲まれてさぁ。小春も男子からモテるじゃん。囲まれてるとこ見るといつも大変そうだし。」
「あぁ。確かに、大変そう。」
「ということで…。入学祝いもかねて、いっちょ行きますか!!」
と笑って言う祐希に
「いっちょ?いく?」
私は、言ってることがさっぱり分からなくて。
「カラオケよ!カ、ラ、オ、ケ!」