My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「ホリス!」
ウロウロと広い宮殿の中を探し回って
やっと見つけた、目的の男
妙な達成感が胸を覆って、思わず嬉しそうな声が出てしまった
そんな俺の声色に気づいて、思いっきり眉を歪めたホリス
ギロリと睨みつける様に、駆け寄る俺の姿を見つめた
「――何だ」
「頼みがある」
それでも、そんな彼に構うことなく、ずかずかと剣の訓練をするホリスに詰め寄る
すると、近づいてきた俺を訝しげに見つめたまま剣を収めたホリス
「――頼み?」
「あぁ。実は、市場に行きたい」
「市へか?」
唐突な頼みにも驚く事無く、淡々と言葉を落とす
その美しい銀の髪の先から、汗が滴り落ちるのを見る