My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ

「今日はいないよ」

「ふぅ~ん」



俺の言葉を聞いて、少し残念そうに小さな唇を尖らせてそう言った少女

すると




「リア!」



聞き覚えのある声が耳に届く

辺りを見渡すと、市場で賑う人々の間から駆けてくる1人の女性がいた



あの時、涙を浮かべてこの子を名を呼んでいた―――




「ママ!」



母親の姿を見て、身じろぎする彼女をそっと下ろすと

またもや危なげない足取りで母親の元へ向かう女の子―――リア





「アレン様!」



駆け寄ってきたリアを抱きしめた後

リアにそっくりなその女性が大きく俺の前で平伏した
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