My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「待ってて!」
頷いた瞬間にそう言って、母親と繋いでいた手を払いのけて、急に走り出したリア
あっという間に人混みの中に溶け込んでいく
「リア! 待ちなさい!」
驚いた母親が呼びかけるが、振り向きもせずに人々の間を縫うように駆けて行くリア
その姿を見て、元気な子だな。と思う
なんだか微笑ましくて、その後ろ姿を微笑みながら見つめた
「素直な子だ」
「――お恥ずかしいですわ」
小さくそう呟くと、苦笑いを浮かべる母親
それでも、優しい目でリアの後ろ姿を見つめている
「――‥あの花の冠」
「え?」
「レイア姫様に贈られるので?」
「――っ!」
ゆっくりと俺に視線を映してニッコリと微笑んで口を開いた女性
その言葉に驚いて、すごい勢いで女性の方に振り返った