My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


勢いよく振り返った俺の姿に、驚いて一瞬目を見開いた彼女

それでもクスクスと可笑しそうに笑いだした




「きっと、喜ばれますわ」




ひとしきり笑い終えた彼女が、小さく息を吐いてそう言った




「姫様は花がお好きですもの」




女性の優しい声を聞いて、伏せていた瞳を上げる

すると、優しくその瞳を細めた女性が俺をじっと見つめていた




「アレン様ですね。姫様の笑顔を取り戻してくださったのは」

「――そんな...俺じゃ...」

「いいえ。分かりますわ」



戸惑って言葉が詰まる俺に、ハッキリとそう言う女性

小さく首を振った後、優しくその瞳を細めた




レイアの笑顔を取り戻したのが――俺?




確かに、一緒の日々を過ごすにつれて笑顔が戻ってきたのは事実だ

でも、それが俺のおかげとは思わない

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