My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「はいっ!」
しゃがみこんだ俺に、小さな両手で花の冠を差し出すリア
ニッコリ笑った顔が、太陽みたいに輝いている
「姫様にあげて! 」
「――よいのか?」
俺の言葉を聞いて、嬉しそうに大きく頷いたリア
その姿を見て、微笑んでこちらを見ている母親に視線を送ると、同じ様に一度頷いた
「――ありがとう」
柔らかく微笑んで、小さな手に持たれた花の冠をそっと受け取る
するとリアは満足そうに笑って、母親に駆け寄り、その手をギュッと握った
その光景に思わず目を細める
――あぁ
なんてこの世界は穏やかなんだ
世界は混沌としているのに
ここだけは、まるで世界から切り離された様に
美しく、穏やか――