My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
首を傾げる俺を見て、睨みつける様な視線を崩す事なく口を噤むホリス
美しい顔だから、余計に怖い
でも実際、ここまで表情を露わにした彼を見る事が初めてだったから、思わず食い入る様に見てしまう
それと同時に、少しホリスという人間に近づけた気がして嬉しい
「―――そなたの、剣の腕を見込んでの話だ」
「俺の?」
「毎日フラフラしているよりはマシだろう」
吐き捨てる様にそう言うや否や、胸元から1枚の羊皮紙を取り出して、俺の前に突き付けた
夏の日差しが眩しくて、思わず目を細めてそれを見つめる
「姫様のお許しも得た」
「レイアの?」
「今日から、騎士としてこの国を守ってもらう」
そう言ったホリスの力強い言葉が、すっと胸に入る
そして、じんわりとそこから熱を発する