My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「誰だぁ、貴様ぁっ!」
アネモスの者達が身に着ける、白い衣を着ていない俺を見て、目の前の男が吐き捨てる様にそう言った
「――前にも、そう言った奴がいたな」
「んだとぉっ!?」
「以前、市場で斬った奴だ。お前達の仲間だろろう」
手の力を抜く事なく、不敵に笑ってそう言うと
目を血走らせた男が、俺の言葉を聞いて恨めしそうに歯ぎしりをする
その時
「――!」
突然殺気が世界に満ちる
反射的に視線を横に向けると、剣を振りかざして俺に斬りかかってくる男が見えた
仲間がいたのか
その瞬間、もう1つの剣を腰から抜いて
甲高い金属音と共に、降ってくる剣を防ぐ
「死ねぇ!!!」
ニタニタと笑いながら、舌なめずりする男
その姿を見て、狂気の沙汰だなと思う