My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
出口の見えない迷路に立ち尽くしたまま、動かなくなったガスパルを見下ろす
すると
「私が見込んだだけある」
血の海に立ったまま、静かにそう言ったホリスに目を向ける
すると、群青色の世界の中にホリスの髪が浮かび上がる
まるで夜空に浮かぶ、月の様に
「明日からは騎士として迎える」
そう言い終えると、静かに歩き出したホリス
そして、その場に縫い付けられた様に動かなくなった俺を待つ事なく
暗い森の中に消えていった
静寂の中
まるで夜の海の様な血の池を見下ろす
その光景を見て、なぜか胸騒ぎがした
ザワザワと
木の葉を揺らす様に―――