My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
月の者
「明日は満月だ」
見上げた空に、そう呟くレイアの言葉を聞いて
そうだな。と思う
暗闇の中で、輝きを放つ月
美しい銀に輝いて、世界を照らしている
そして視線を落とせば、目の前には色とりどりの花畑が広がっている
息を飲む程の、美しい世界
「――父にも、見せてやりたい」
この美しい世界を
柔らかく、暖かな世界を
伏し目がちでそう言った俺の頬に、そっと指が触れる
視線を上げると、少し悲しそうに笑うレイアが俺の頬を指の背で撫でていた
思わず、その手を取って強く握る
じんわりと広がる熱が心を癒す