My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「幼い頃から父に剣を教えてもらった」
朝日が昇って、夕日になるまで
1日中、剣の稽古をしていたのを思い出す
無我夢中で剣を振って――
楽しくて楽しくて、仕方なかった
「父親に…剣を教えてもらうのか?」
「あぁ。俺の一族は代々、国の守護を任されている。だから必然的に俺も騎士として育てられた」
「――嫌では、なかったのか?」
「いや、全く。それが当たり前だと思っていた。それに、父の様になりたかった」
父の様に強く
そして、誰からも愛される騎士に
そう思ったら、父の背中ばかり追って生きてきたな、と思う
父の行く所行く所についていき、父の真似事ばかりしていた
今思うと、目指す人がいてくれて良かったと思う
それだけで、俺は強くなれたのだから