My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「それは、少し寂しいな」
「俺は、それが当たり前だと思っていたけどね」
こんなに美しく色づく葉があるとは
それこそ、想像もできなかった
それが、なんだか俺の気持ちと同じだな。と思って可笑しくなる
真っ赤に燃える、この気持ちを知らずに生きてきた
青葉のまま、生きてきた
でも、知ってしまった今
その赤無しでは、生きていけない
「何を笑っている」
すると、訝しげな声が下から聞こえてきて、視線を下ろす
すると、首を傾げて俺を見つめる彼女と目が合った
その途端、愛しさが募って無意識に笑みが零れた