My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「――体が戻り次第、この地を去る」
真っ直ぐに俺を見つめてそう言った父に、小さく頷く
この地を去る時は、父も共に――
そう言っていた自分の言葉を思い出す
本当はどこまでも父の背中を追いかけていたかった
たった1人の、俺の家族だから
「俺はどこにいても、父さんの息子だから」
例え、離れていても
生きる場所が違えど
俺は父さんの息子だ
その誇りを忘れはしない
「私の息子よ――」
すると、眉を垂らして微笑む父が俺の両頬を優しく包んだ
温かい手が俺の震える心を包む
「お前は私の誇りだ、アレン――どこにいても、お前の幸せを祈っている」
慈しむ様に俺の顔をじっと見てから
強く俺を抱きしめた父
その背に腕を回して、同じ様に抱きしめ返した
悲しみを
消し去る様に