My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
風と共に
「――アレン様っ!」
突然悲鳴にも似た声で呼び止められて、後ろを振り返る
すると隣を歩いていたホリスも、同じ様に振り返った
「グレイス?」
息を切らして走ってくる彼女を見て、首を傾げる
そして、勢い余って俺の胸に飛び込みそうになる彼女の肩を掴んで支えた
「アレン様っ!」
「どうした? そんなに慌てて」
今にも泣き出しそうな彼女の顔を覗き込んで、その真意を問う
すると、息を整え終えた彼女が勢いよく顔を上げて口を開いた
「ゲル様がっ!」
「父が? どうした?」
ぐっと俺の服を掴む彼女を見て、一気に不安な気持ちになる
思わず答えを急かす様に、掴んでいた肩の力を強めた