My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「悪かったね、グレイス。父の事は俺とホリスで探すから」
「‥なっ!! 私もかっ」
「1人より、2人の方がいいだろ」
眉間に皺を寄せて、猛反発するホリスに溜息半分にそう言う
俺達は今から剣の稽古を共にするつもりで、稽古場に向かっている最中だった
俺も早く稽古したいから、できるなら早く見つけたい
「――それでは・・・お願いしてもよろしいでしょうか?」
申し訳なさそうにグレイスが俺とホリスを交互に見つめる
きっと、今から森に行かなければいけないのだろう
彼女も俺と父の世話だけが仕事ではない
森の木々の成長を助けると言う、ウィスタリア家としての義務もあるのだ