My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


「悪かったね、グレイス。父の事は俺とホリスで探すから」

「‥なっ!! 私もかっ」

「1人より、2人の方がいいだろ」



眉間に皺を寄せて、猛反発するホリスに溜息半分にそう言う



俺達は今から剣の稽古を共にするつもりで、稽古場に向かっている最中だった

俺も早く稽古したいから、できるなら早く見つけたい




「――それでは・・・お願いしてもよろしいでしょうか?」




申し訳なさそうにグレイスが俺とホリスを交互に見つめる

きっと、今から森に行かなければいけないのだろう


彼女も俺と父の世話だけが仕事ではない

森の木々の成長を助けると言う、ウィスタリア家としての義務もあるのだ


< 216 / 388 >

この作品をシェア

pagetop