My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「父さん――」
「私がお相手しよう」
父のあまりの空気の読めなさに、どう声をかけていいか分からないでいたら
ホリスが一歩体を前に出して名乗り上げた
殺気を孕んで
「おぉ。そなたは、この国の騎士だったな。うむ、手合せしよう」
そんな殺気にも気づかずに、にこやかに剣を構える父
そして、同じ様に剣を抜いて、殺気丸出しで構えたホリス
このままでは父の命が危ないと思って、焦って声をかける
「ホリス――」
「止めるな、アレン。この男は一度、痛い目に合わなければ分からない男なのだ」
その言葉に確かに。とも思う
まぁ。父もそんな、やわな腕ではないし
ホリスもさすがに、本気で殺気の向くままに動こうなんてしないだろう
そう思って、止めに入ろうとした体を押さえて、その行く末を見守る