My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


「父さん――」

「私がお相手しよう」



父のあまりの空気の読めなさに、どう声をかけていいか分からないでいたら

ホリスが一歩体を前に出して名乗り上げた


殺気を孕んで





「おぉ。そなたは、この国の騎士だったな。うむ、手合せしよう」



そんな殺気にも気づかずに、にこやかに剣を構える父

そして、同じ様に剣を抜いて、殺気丸出しで構えたホリス



このままでは父の命が危ないと思って、焦って声をかける




「ホリス――」

「止めるな、アレン。この男は一度、痛い目に合わなければ分からない男なのだ」




その言葉に確かに。とも思う



まぁ。父もそんな、やわな腕ではないし

ホリスもさすがに、本気で殺気の向くままに動こうなんてしないだろう



そう思って、止めに入ろうとした体を押さえて、その行く末を見守る


< 220 / 388 >

この作品をシェア

pagetop