My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「ホリス! ちょっと、本当に殺さないでくれよ!?」
「うるさい! お前は黙っていろ!」
あまりの光景に止めに入ろうとしたけど、とてもじゃないけど、入れそうな雰囲気じゃない
「ふむ。なかなか、いい腕をしている」
ガチガチと金属を重ねながら、父が不敵な笑みを浮かべて、目の前のホリスを値踏みする
その余裕の様子が、またもやホリスの勘に触った様で、瞬く間に猛烈な剣の打ち合いになった
「受けてばかりおるな! かかってこい!」
「ほぅ。それでは、そうさせてもらうぞ」
人格が崩壊しつつあるホリスが父にそう叫んだ瞬間
父の構えが変わる
その見覚えのある構えに、ゾクっと鳥肌が立った
父の目つきが変わって、纏う空気が一気に張りつめる