My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ


その変化を感じ取ったホリスが、一瞬眉間に皺を寄せる

その瞬間、先程まで受けていただけの父が、もの凄いスピードでホリスに斬りかかった




まさに、一瞬の出来事




甲高い音と共に、剣が宙に舞う

太陽の光を受けて、煌めいた瞬間

地に落ちた





「――勝負、ありだ。」



剣の切っ先をホリスの首元に向けた父が、不敵な笑みをたたえて、そう言う

その様子を信じられないと言った様子で、瞳を大きく見開いたホリス




「勝負あり」




それでも、俺のその一言で我に返った様に瞬きを何度も繰り返した

そして、肩を落として




「私が...負けた...?」




小さな声で、そう言った
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