My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ



「大丈夫か?」



悔しそうに唇を噛むホリスに、弾き飛ばされた剣を渡す

すると、無言でそれを受け取ったホリス




「そなた。なかなか、いい腕をしている」




すると、既に剣を収めた父が近場にあった岩の上に腰かけて、顎髭を弄びながらそう言った




「だが、騎士たるもの、感情のままに動いてはいけぬ。常に心を冷静にしなければ」

「――分かっている」



憎らしげにそう答えたホリスが、父を横目で睨みつけている



確かに、父の言う通り戦う時は常に冷静でいなければならない

感情のままに動くと、周りが見えなくなる



と言っても、いつもは恐ろしいくらい冷静沈着なホリス

ここまで感情を露わにした姿を見たのは初めてだ



そして、その原因は紛れもなく

父だ



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