My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
無言の戦いが起こる2人の間に慌てて割って入る
「父はヴェントスで国の守護を任されていたんだ」
「だから何だ」
「それに、様々な国へ出向いている。そこで培った知識は計り知れない」
真顔でそう言う俺の言葉を聞いて、うっと口を噤むホリス
先の戦以来、外の世界にも少し目を向けだしたアネモス
とはいっても、森を抜けたすぐ側まで偵察に行くと言った程度だ
他国と交流を図る事は、未だ行われていない
そんなアネモスの騎士にとって、他国の情報は早々入ってくるものではない
この国を守る騎士である以上、他国の情報を持っていた方が有利なのは明白だ
「父の指導を受ける事は、このアネモスにとって有益なものになると思うけど?」
核心をつかれたホリスは、悔しそうに俺を睨んで口を噤む
それでも、頭のいいホリスの事だ
どうする事が一番いいか、本当は分かっているはずだ