My Precious ~愛する人よ~ Ⅱ
「まだ話しは終わっていないぞ」
納得のいかないといった様に、眉間に皺を寄せるホリス
稽古を始めようと、ひらけた場所に移動する俺達の後を追ってくる
「もうどっちでもいいだろ」
「よくはない。大切な事だ」
「あははは! ホリスは見た目と違って、意外と女々しいな」
「なっ!」
大口を開けて豪快に笑う父の言葉に、勢いよく父を睨みつけるホリス
ゆっくりと滝の方に歩き出した父に向かって、小言を言って追いかけている
その光景を見て、胸が温かくなる
幸せだ。と思うのは容易い
ずっと、このままでいたいとも思ってしまう
その瞬間、微かな胸の痛みを覚える
この幸せも、残りわずか
父の体もだいぶ回復してきた
別れの時は確実に迫っている